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京都大学学生チャレンジコンテスト(SPEC:Student Projects for Enhancing Creativity)

マングローブスズが持つ概潮汐リズムの生理学的アプローチによる解明

マングローブに棲む鳴かないコオロギを用い、体内時計研究の新たな切り口となる「概潮汐時計」に挑戦!
申請者:理学部4回生 左倉 和喜

   マングローブスズとは、マングローブ林に生息するコオロギで、「概潮汐リズム」を持っています。これは、潮の満ち引きに関連した特殊な体内時計で、海棲生物などで研究されてはきたものの、陸棲生物である昆虫を用いた研究はほとんどありません。新種報告を含めマングローブスズに関する論文数は10本にも満たないのです。

 しかし、一般に消失しやすく、測定が難しいと考えられている概潮汐リズムを、マングローブスズは長期間、恒常的条件下で維持しており、概潮汐リズム研究ではもっとも扱いやすいと思われます。そのうえ、海や潮間帯に生息する昆虫は少なく、マングローブスズの進化的経緯を知ることは、昆虫の進化を解明するうえでも重要です。

申請者:理学部4回生 左倉 和喜

 本プロジェクトでは、この概潮汐リズムのメカニズムを生理学的に解明し、昆虫の進化における至近メカニズムの理解を目指すとともに、概潮汐リズム研究の促進も目的としています。研究の第一歩として、独自の実験方法で概潮汐リズムの同調因子の特定を行う予定です。それを足がかりにして、概潮汐リズムの神経学的理解を深めることで、メカニズム解明にアプローチできると考えています。

 

 誰もが役に立つと思っていなかった知見が飛躍的に発展することがあるのも、このような独自性と生物学的重要性が高い基礎研究があってこそ。そのことをつねに念頭に置き、基礎研究に邁進したいと思います。

山極総長による寸評  

   なぜ昆虫は海水域に進出できなかったのか? 私も、類人猿はなぜアフリカ大陸を出られなかったかという問いを持ったことがあるが、できなかったことを検証することは難しい。回答は1つではないだろうが、確信できる回答を探り当てることができれば、さらに世界は広がり、そこからまた新たな問いが浮かんでくるはず。突き進めていただきたい。