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京都大学学生チャレンジコンテスト(SPEC:Student Projects for Enhancing Creativity)

山極総長による寸評

①腸管クリーナー開発で世界進出

   ノロウイルス様粒子を大腸菌表面に吸着させることには成功しているそうで、今後の進捗が楽しみな研究だ。大腸菌とセルロースの結合に着目して大腸菌を速やかに排出させるという方法だが、生物のもともとある働きを応用して身体の問題を解決するという発想そのものがおもしろいと思う。

 

②無音ストローの開発

   「こんなことを考えるのか」とうれしくなった。炭酸飲料などはストローで飲んでもおいしくないので、「おいしく飲める」という観点も加えるといいのではないか。ストローの音を消すためのテクノロジーは、ストロー以外にも応用ができそうなので、発想の拡大も視野に入れてほしい。

 

③未来の医師のためのグローバルヘルス・スタディツアー

   私自身、難民問題に関わったことがあるが、日本の医師の参加率は低かった。日本の高度な医療技術を持つ人たちが、グローバルヘルスにどう貢献できるかにアプローチする、重要なテーマだと思う。フィールドワーク先は国内のNPOなど幅を広げ、また、医師だけでなく看護師やソーシャルワーカーなどとのチームワークについても学んでほしい。

 

④マングローブスズが持つ概潮汐リズムの生理学的アプローチによる解明

   なぜ昆虫は海水域に進出できなかったのか? 私も、類人猿はなぜアフリカ大陸を出られなかったかという問いを持ったことがあるが、できなかったことを検証することは難しい。回答は1つではないだろうが、確信できる回答を探り当てることができれば、さらに世界は広がり、そこからまた新たな問いが浮かんでくるはず。突き進めていただきたい。

 

⑤にしあわくら・みんなのKENKYUJO

   地方活性化のためにはコミュニティに参加することが重要で、意味ある取り組みだと思う。注意が必要なのは、コミュニティの規模が変われば人間関係も変わること。仕事の創出だけでなく、ルールを守り、役割分担していくにはどうすればいいか。これは西粟倉村に限ったことではなく、日本社会に通じる課題でもあることを念頭に観察してほしい。

 

⑥ナノ爆薬による1細胞手術-新しい薬物輸送法の確率

   爆発のコントールと同じ方法を使い、レーザー起爆によって細胞手術を行う。手術に「爆薬」という発想が、実にユニークだ。研究というのはおたく、そして1つの比喩から始まると思っているが、まさにその典型例だと感じた。失敗を恐れずにやってほしいし、すでに手応えを得ているということで、大いに期待している。