京都大学学生チャレンジコンテスト(SPEC:Student Projects for Enhancing Creativity)

歩きスマホ撲滅に本気で取り組みませんか?―潜在意識への心理学的アプローチの提案―

潜在意識に心理学的にアプローチすることで
歩きスマホの撲滅に本気で取り組む!
申請者:文学研究科博士後期課程1回生 上田 竜平


 近年、わが国を含めた世界中で「歩きスマホ」による事故の多発が問題視されています。一方で、有効な公共政策や法整備は進んでおらず、「利用者のモラルとマナーに委ねる」のが現状です。しかし、ある携帯電話会社の調査では、回答者の99%が「歩きスマホは危険である」と認識しながら、73%が「歩きスマホをしてしまったことがある」としています。携帯会社から歩きスマホを制限する提供するアプリが提供されているものの、インストール、設定が必要なため、効果的と言えるまでに普及には至っていません。

 本プロジェクトは、認知心理学の知見を活用することで、短時間かつ低コストで実施可能な歩きスマホ対策の提案を行います。その方法は、「視線の画像」があるだけで、人は無意識のうちに利他的に行動する「gaze effect」という知見を活用するもの。つまり「見られているだけで良い子になる」という潜在的認知を活用することで、視線ポスターの設置による歩きスマホ率の減少を目指します。

 「gaze effect」を用いた迷惑駐輪対策の実験は、神戸市ですでに実施され、設置前の約1割まで減少したという報告があります。この場合、駐輪場に視線看板が設置されましたが、歩きスマホ対策では、注意を引きやすい道路上にプリントすることで、より大きな効果があると考えています。

 本プロジェクトでは手始めに、京都大学構内で21日間の社会調査研究を行います。学内の人通りの多い通路に、「視線画像なしの警告ポスター」と「視線画像ありの警告ポスター」を貼ってスマホ利用率をカウントします。その結果を通して有効性を示し、マスメディアを通じた周知を図ります。京都大学のホームページのほか、自身で開設するWebサイト、社会心理学分野の論文発表などによって社会の中での実用化を提案し、最終的には公共政策事業として、実際の道路でも視線画像が設置されるように目指します。

 大きな社会問題となりながらも、利用者のモラルとマナーに委ねられている現状の「歩きスマホ」。低コストで実現可能な対策方法を、京都大学から発信することで、安全で快適な生活を守りたいと思います。