京大生チャレンジコンテスト
(SPEC:Student Projects for Enhancing Creativity)

京大生チャレンジコンテスト2016 京都大学学生チャレンジコンテスト
学年は申請当時

地域農家の新鮮野菜を搭載した移動式キッチンPHAREがキャンパスを駆け巡る


申請者:農学研究科修士2回生 上田 遥

<2018.2.1 更新>



昨今、「野菜が高い」と世間で騒がれていますが、確かに現在日本農業は踏ん張りどころです。
和辻哲郎が著書『風土』の中で説いたように、厳しい自然環境の中で、私たちは忍従的かつ受容的になることを古来より学び、また、これから先も求められているのかもしれません。
そしてこの1年間、PHAREの活動においても、忍従性かつ受容性を強く求められました。

「そこに良い野菜があれば、人は集まり、食について学ぶことができる」
そうした信念で活動を開始しました。
季節の野菜や地の野菜、市場で仕入れた野菜から農家直送の野菜。確かに良き野菜があれば、良き食の学びをできることには、とても手応えを感じることができました。

不定期開催にもかかわらず、毎回集まってくれた運営メンバーや食べにきてくれた学生にはこの場をお借りして感謝の意を伝えたいと思います。お昼休みの忙しい時間に本当にありがとう。

同時に、フードシステムの重層性についても多くを学ぶことができました。
生産から、卸売、調達、加工・調理、またさらにその川下では、集客や野菜販売後のフォローアップ、そして加工後のリサイクルや片付けも、多大な時間と労力を要します。

「ただ良い野菜があれば」「ただ人が集まれば」 こうした単純なことが非常に難しいことを痛感しました。


PHAREの開催中には、メンバー内で地域のフードシステムについての勉強会を開催したり、個別に食品衛生管理の勉強を行ったり、また、食材調達の過程で、地域の農家や卸売業者、専門小売業者の生の仕事姿・仕事観にふれることができました。本当に上質な学びを得ることができました。

皆様からのご支援は器材や食材の購入のみならず、こうした“学び”という形に還元することができました。改めてお礼申し上げます。




また、こうした忍従と受容のうれしい結果として、私たちの取り組みが、中核メンバーによるプレゼンを経て、『京の公共人材大賞 京都の未来を創る人びと』という本に収録されることになりました。

初期の運営メンバーは就職や進学などでそれぞれの道を進むことになりますが、PHAREはまた今後も京都大学キャンパス内のどこかを台風のように季節的かつ突発的に走ることになるでしょう。

またどこかで皆様にお会いできることを楽しみにしています。
走るキッチンカーに季節の野菜をのせて、お待ちしています。

<2017.11.27 更新>

秋・冬野菜の季節を迎え、赤、黒、白など色とりどりの根菜や、身の引き締まった白菜を食べると、PHAREの活動を始めた昨年のこの時期が思い出されます。
「大学内に新しい食のプラットフォームをつくる」という強い意気込みをもって始めたPHAREですが、活動開始から約1年が経ち、多くの学びがあったことに気づかされます。

「移動キッチンという限られた調理環境で、いかに野菜のおいしさを最大化するか」
「忙しい大学生の日常の中に、いかに“食と向きあう時間”を組み込めるか」
「20~30分という昼食の時間のために、どれだけ多くの準備を要するか。どこをどれだけ効率化するか」
このような思考を繰り返しながら、メンバー自身に無理のない範囲で活動を続けています。
また、PHAREの活動を、外部イベントや他大学の講義の中で紹介するような機会も増えてきました。

追手門大学で、PHAREをはじめとした食育活動の経験をもとに授業を行う上田
地道で細々とした活動ですが、一人でも興味を持ってくださる方がいるのは非常にうれしいことです。
冬が明け、来年の春野菜を料理できる時まで頑張っていきたいと思います。引き続き温かく見守っていただけますと幸いです。

<2017.6.20 更新>

新学期が始まって3カ月弱、PHAREは1機でたくましく走っています。保管場所の確保に苦戦しており、PHAREを増製するまでには至っていませんが、皆様のご支援のおかげで、現行のPHAREの装備、特に水回りの手入れや修理を充実させることができました。また、野菜も少しだけ羽振り良く提供することができています。
研究、留学、就職活動と忙しく、運営陣の体制下にはなかなか難しいことも多いですが、息長く続けていきたいと思っています。
キャンパスのどこかで、野菜を運んでいる不思議な手押し車を見かけた方もいるのではないでしょうか? ご興味のある方は、いつでもご連絡ください。僕たちの理念に沿う限りであれば、バーベキューでも野菜パーティーでもPHAREの貸出は可能です。回転率100%を目指します!



そんな内向きのプロジェクトではありますが、縁あって応募していた女性未来農業創造研究会主催の「大地の力コンペ」では、「パネル賞」をいただくことができました。これは、グランプリ等には届かなかったものの、その熱意やアイデアを埋もれさせるのはもったいないとの評価をうけ、表彰式でパネル展示をいただいたものです。
まだまだ実績のないPHAREですが、一人でも多くの人に見ていただくことはとてもうれしく思います。梅雨やら暑さで少し夏バテ気味ですが、次は皆様にどのような報告ができるでしょうか。
まだまだ頑張っていきたいと思います。

大地の力コンペ https://daichi-no-chikara.awable.org/author/mitog/

フランスにLEGOでITERを建設するプロジェクト

申請団体:京大レゴ部
代表者:エネルギー科学研究科修士1回生 八尾 栄彰

<2018.3.9 更新>

そもそもITERとは何だ?と思う人が大半だと思います。ITERの正式名称はInternational Thermonuclear Experimental Reactor(国際熱核融合実験炉)です。簡単にいうと、未来の発電装置の実証を確かめる大きな実験装置だと思ってください。

もともとSPECに応募する2年前から、宇治のオープンキャンパスの際、研究室の活動を知ってもらうためLEGOを使って活動していました。
そんな我々が今回なぜフランスまで行くことになったのかといえば、2015年、私と研究室の同期でLEGOを使ってITERを工学的に正しい構造で製作したからです。加えてITERの建設は予定よりも大幅に遅れていたため、LEGOで出来上がったITERを現地サイトで展示して“喝”を入れようと画策したわけです。
しかしこの企画、2つの点でお金がかかります。
1つ目は大量のLEGOが必要という点。2つ目はフランスまでの渡航費です。出来上がったものを持って行くのではなく、現地でリアルタイムにつくることで、より現地の人に刺激を与えようと思いました。
1つ目のLEGO自体のお金はITER機構に出してもらえることになりました。そこで、足りないフランスまでの渡航費をSPECで支援をお願いしたいというのが今回の応募のきっかけでした。

現地ではサイトのロビーの一部をお借りして、カメラで製作の様子をリアルタイムで映しながら、製作を進めていきました。異国の地で製作をするのはもちろんのこと、現地の職員との交流できたことが自らの良い経験になりました。フランス人は隙あらばコーヒーを飲みながら談笑していたのが印象的でした。日本社会もそれくらいの余裕がほしいですね(笑)。

今回、LEGOでITER(または核融合炉)をつくる活動はいったん締めとなりました。しかし昨2017年、青森で開催された国際学会で、東北大学の学生が私の作成した設計図を基に、日本に3基目をつくって展示しました。京都大学での製作の活動はありませんが、日本国内でLEGOを使って核融合炉を広める活動は受け継がれています。
LEGOでの活動が他の活動の参考になるかはわかりません。しかし、SPECの活動が終わり、自身が活動から離れることになっても、後輩がその活動を引き継いでくれたり、大学の枠を超えてSPECの活動を見ていた人が同じような活動をしてくれたり、皆さんが思っているよりSPECの影響力は広範囲に及んでいると私は思います。

LEGOの可能性は無限大です。SPECの活動も無限大です。こんなことを思い知らせてくれる経験をあなたもしてみたくはありませんか? 京都大学はそんな学生をきっと応援してくれるはずです。

<2016.6.19 更新>


ITER機構本部において完成したLEGO-ITERと製作者(左:坂根、右:杉山)
京大レゴ部は、京都大学エネルギー理工学研究所原子エネルギー研究分野に所属する大学院生が主体となって、「LEGOによる最先端エネルギー工学モデルの社会との共有」を目指し、幅広い世代に親しまれているLEGOで製作した最先端装置を使い、核融合とエネルギーに関する教育・アウトリーチ活動を行っています。これらの活動の集大成として、修士課程2年の杉山大志と坂根海志(2016年度部長と副部長)は、フランスで建設中の国際熱核融合炉(ITER)の精密なレゴ模型(LEGO-ITER)を現地において製作することに成功しました。
模型に必要なレゴ部品(4万パーツ!)の調達は、2016年秋に京都で開催された核融合国際会議等で親交を深めたITER機構本部の科学コミュニケーション部門に現地で調達していただくことで合意が得られていましたが、現地への渡航費をどのように工面するのかが大きな壁となっていました。そこで構想が停滞していたところに出会ったのが「京大生チャレンジコンテスト(SPEC)」でした。京大レゴ部として申請した本プロジェクトが採択され、クラウドファンディングによって46万円もの資金を一般の方々の寄付によって調達していただくことができました。本資金により、杉山と坂根の2名は、修士論文提出直後の2017年2月末に、フランスへと旅立つことができました。

LEGO-ITERの建設は、ITER機構本部(フランスのサン・ポール・レ・デュランス)において、2017年2月28日から3月3日という短期間で行われました。製作の様子の詳細は京大レゴ部のホームページ(http://www.atomic-energy.iae.kyoto-u.ac.jp/?page_id=916)やYou Tubeにアップされています。核融合炉工学を専門とする研究グループの一員として、工学的な正しさを志向して設計した結果、ITER機構のビゴ機構長からも称賛いただける出来栄えとなりました。ビゴ機構長との懇談の様子は、ITER機構のニュース(https://www.youtube.com/watch?v=SMXRoBh9Uow)に掲載されています。LEGO-ITERはITER機構本部棟ロビーの1等地に置かれており、現在でも子どもたちの見学や大臣級のVIPの視察の際に、実物のITERの代わりにその構造を説明するために頻繁に活用されているそうです。

製作中には一部を破壊されてしまうなどの想定外の出来事や、労働習慣の違いに困惑することもありましたが、ITER機構で働く日本人スタッフの温かい励ましや、世界各国出身者の興味を引くような国際的な活動を実施していることの誇りによって、最後までやり遂げることができました。このような得がたい経験を学生生活最後に得ることができましたのも、SPEC2016にご支援いただいた皆様のお蔭です。深く感謝申し上げます。
2017年5月13日の日本経済新聞夕刊に本活動が掲載されました。
http://www.nikkei.com/article/
DGXMZO16354090T10C17A5960E00/

国際社会で活躍できる人材の心理学的研究:関係志向性の機能に着目して


申請者:人間・環境学研究科博士後期課程2回生 中尾 元

<2018.2.27 更新>





2018年1月、筆者がこれまで依拠してきた基礎研究や実践的な側面をまとめた内容を東京にて講演させていただきました。講演は、本学卒業生の楠浦崇央氏が代表取締役を務めるTechnoProducer株式会社の皆様を対象に行いました。
今回の機会は、2017年11月に開催されたSPEC2017採択発表会にて「“挑戦”が人を育てる」という基調講演を行った楠浦氏から直接ご依頼をいただき、実現したものでした。SPECという取り組みが、一つの社会的な意見交換や交流をさせていただく「場」としても機能したことは、私としては存外の喜びでした。
私の講演タイトルは「異文化間心理学の理論と実践: 研修ツールとして文化的同化法と判断保留のトレーニングに関して」でした。この講演は、筆者がこれまで重視し、依拠してきた異文化間心理学での理論的な系譜(構成主義[Jonassen, 1991; Ponterotto, 2005; Semprini, 1997]、現象学、実存主義、オートポイエーシス[渡辺, 2002; Watanabe, 2005]など)や、そもそも「文化」そのものをどのように考えるかについてのいくつかのアプローチ(文化人類学からの見方、心理学の行動主義的な見方、そして認知主義的な見方など)を統合的に整理し、まとめたものでした。
これらの背景をもとに、SPECの実践的な取り組みとして検討をしてきた筆者の「バイアス・カード」という実践例についても詳しく紹介をし、その理論的な裏付け(同型の帰属: isomorphic attribution; Triandis, 1994など)を交えて話しました。
講演に対し、社員の方々から以下の3点を含むさまざまな反応がありました。
(1) 事例などを用いた異文化トレーニングの実践をする際は、事例の状況がどのようなものかどれだけ枠組みをきっちり設定できるかが重要である
(2) 対人間での軋轢や理解のすれ違いの際に、その理由をどこまで異文化間に特有な要因(あるいは個人的な要因)に帰属できるか
(3) 判断の保留という実践例に関して、そのようなある程度明示的に測定ができて具体的(tangible)な方策であれば、日本の小学校の教育から行うと良いのではないか(多様性や人権などの教育の文脈でも活用できるだろう)
以上のような有益なフィードバックをいただくことができました。

また異文化トレーニングの実践の話だけに留まらず、個人の情動と学びの関係性(ヴィゴツキー, 2005)などの理論とあわせて、人がいかに学ぶか、ないし馴染みのない環境で人がいかにその場を協働的に構成していくのという広い枠組みも含めて討議ができたことで、有益な視点を得ることができました。
当日は、これらの講演と活発なディスカッションとで2時間ほどの有意義な時間となりました。

添付の写真は、当日の講演および社員の方々とのディスカッションの模様です。企業の方々の実践的な観点からも、私の取り組みに対して納得をいただいた点や、改善のために有益なコメントを多くいただき、今後の研究のためにも非常に有益なご指摘をいただくことができました。
今後は、異文化間能力の基礎研究として、現在進行中の脳波計(EEG: Electroencephalography)を交えた実証的な心理学調査を進めつつ、同時に異文化トレーニングのワークショップ分析やプログラム開発(PD: program development)の実践の構築も視野に入れ、私の研究のうちの部分的であっても社会に還元できる研究にしていければと考えています。
これらの取り組みの大きな枠組みとしては、「異なる文化背景を持つ人と関わる上でどのような考え方を持つことが、ますます多元化が進む今日の世界の中で信頼関係を築くために有効か」という課題に、人間科学の立場から取り組むというものです。 最後に、本報告は未発表の調査結果や知見を一部に含みます。そのため、引用をいただく際 は、京都大学基金室および筆者までご一報いただければ幸いです。筆者からの事前の許可なく本内容を無断引用・複製・編集・配布、事例流用をすることはお控えください。
末筆ではありますが、これまでの筆者の取り組みに対して厚いご後援をいただいた皆様に重ねて感謝申し上げます。

<2017.11.27 更新>

異文化トレーニング・ワークショップのためのウェブ・プラットフォームの共同開発に関して、その後進捗が見られたため報告をいたします。

今回開発をしたウェブ・プラットフォームは、理論的には(a) 異文化トレーニングの分野のisomorphic attribution(同型の帰属:他の文化圏出身の人が、異文化適応をしようとしている対象の文化圏の人々とおおよそ同じような形で、人がある行動をなぜしたかの理由づけができること:Triandis, 1975:1990)を訓練するという方法論、および(b) 複数のアーティストが、例えば「柔らかい」というイメージを言語的に共有する際、どのような意味・内実を双方が実際に持っているかを確認する作業であるアーティスト・コミュニケーションの方法論から統合的につくられたものです。
現在、今回のウェブ・プラットフォームを、異文化トレーニングに関する実践報告や理論的示唆を持つものとして、論文化を進めています。これは、とりわけisomorphic attribution に関しては、Bhawuk(2009)などのレビューでも、 事例的・実証的研究が近年ほとんど見られないことが論じられているため、異文化トレーニングの分野に一定の貢献できることが考えられるものです。
引き続き、今後はこのようなウェブ・プラットフォームがチームワーク構築にどれほど寄与するかを(数量的)アセスメントの観点から研究していく予定です。

最後に、本報告は、進捗報告という性格上、未発表の調査結果の知見を一部に含み、今後の修正が予定されます。そのため、担当課(京都大学 総務部渉外課 基金室)および筆者からの事前の許可なく本内容を無断引用・複製・編集・配布、事例の流用をすることを禁止いたします。

<2017.6.21 更新>

本研究プロジェクトは、「自らとは異なる基準や、文化背景を持つ人と信頼関係を築くことができる能力」である異文化間能力と関係志向性との関連を実証的に検討することを目的としています。現在の進捗状況として、下記の2点(基礎研究編・実践への示唆編)が挙げられます。本プロジェクトの遂行にあたり、ご指導・ご協力をいただいている方々に心より感謝いたします。

■基礎研究編
今回のプロジェクトを進める中で、中心概念の一つでもある「関係性」を考察するために、異なるシステム同士の接触面を意味する「インターフェース(cf.佐伯,1992)」という、より広いフレームワークで異文化接触を捉え直すことができたことは有益でした。異文化間能力と関係志向性に関して、これまでに行った調査の結果として、個人が情報を受信する際の態度の特徴として次の点が挙げられます(どのように意見を伝えるか等の情報を発信するモデルについては割愛します)。

異文化間能力を測定するための一つの指標である文化的知性尺度(CQ: Ang & Van Dyne, 2008)と、「事物の関係性に注意を払う思考様式」としてのHolism尺度(Choi,Koo,&Choi, 2005)との正の相関により、いわば世界観として、また物事に対して全般的な「関係性の認識」をする個人ほど、異文化に対応するための資質が高い可能性が考察されました。今後は、行動指標(特定の認知課題への反応時間の測定)や神経生理学(脳波)の指標を用いて、異文化間能力に関してさらに詳細に検討をしていく予定です。

■実践への示唆編
本研究の取り組みを足がかりとして、多文化チームワーク(異なる文化背景を持つメンバーで構成される集団の中のチームワーク)とICT技術(ICT:Information and Communication Technology、情報通信技術)について実践的な観点から研究をしているミラノ工科大学(Politecnico di Milano)のFrancesca Mattioli氏と数回にわたって討議ができたことは有意義でした。筆者のプロジェクトで考察している関係志向性などの概念が、多文化チームワークを育成するためのワークショップでも重要なカギの一つになりうる可能性が討議されました。具体的には、Francesca Mattioli氏のプロジェクト等では、ICT技術を活用し、同型の帰属(isomorphic attribution)という、「ある行動をなぜしたのか、あるいはしなかったのかと言う原因付けを、相手の文化圏の人たちと全く同じでないにしろ、同じような形でできること(渡辺,2003)」を学ぶ異文化トレーニングのプログラムが開発されてきています。筆者の取り組みは、そのような実践を精緻化し、推進することに基礎研究の観点から貢献できることが明確になってきました。筆者の取り組みを今後研究知見として発信をしていくことは、実践との接合の観点でも重要であることが再確認できました。

最後に、本報告は、進捗報告という性格上、未発表の調査結果の知見を一部に含み、今後の修正が予定されます。そのため、担当課(京都大学 総務部渉外課 基金室)および筆者からの事前の許可なく内容を引用・転載することを禁止いたします。

親日指数世界一のインドネシアから若者を招待し、未来アジアを考えるOne Week Japanツアー

申請団体:京都東アジアコミュニティー(K-EAC)
代表者:医学部2回生 吉川 健太郎

<2018.3.18 更新>


私たちの訪日プログラムは、「アジアと日本のかけはしになる人材を育てる」ことを目標に「かけはしプログラム」と名づけ、2017年8月の第1回に引き続き、2018年3月7~17日に第2回を開催しました。

このような私たち活動が評価され、今夏実施予定である次回のプログラムに対し、外務省より「日本インドネシア国交60周年記念事業」に認定していただくこととなりました。
夏のプログラムは関係機関と連携しつつ、かけはしプログラム始まって以来の大きなイベントとなる予定です。そちらの情報についてもまたご報告させていただきたいと思っています。

当プログラムがこのように多くの方々からお力添えをいただき実施することができるのも、京大生チャレンジコンテストで採択いただきましたおかげです。改めて心より感謝申し上げます。

<2017.11.30 更新>


当団体は2017年8月17日から26日の10日間、日本と関連する仕事がしたいと考えているインドネシア国籍の若者8名を対象とした訪日プログラムを行いました。今後の継続的なプログラムの実施に向けた実験的な取り組みであったため、今回は多数の応募の中から日本語能力や熱意などをもとに参加者を決定いたしました。

日本滞在中は、当プログラムのメインとも言える短期インターンシップや企業見学はもちろんのこと、日本をより理解してもらうための、寿司作り体験や地域の盆踊り大会への参加などといった文化体験を行ったり、協力してくださった京都府の関連部署を訪問し行政見学をさせていただいたりと、大変充実した10日間を提供することができました。
またこのプログラムは、訪日する若いインドネシア人と同年代の学生たちが企画・運営を行ってきました。そのため、10日間という短期間で参加者と団体メンバーは意気投合し、プログラム終了後も密に連絡を取り合っています。

成果としましては、このプログラムをきっかけに、参加学生8名のうち2名が2018年4月より協賛企業の一つで実際に働き始めることとなりました。また4名が日本への留学に向け準備しています。このように日本に対して熱い思いを持ってはいるものの、どうしたらよいかわからず一歩を踏み出すことができずにいたインドネシアの優秀な学生たちの後押しすることができました。
2018年3月と8月に第2回・第3回と継続していく予定です。

最後になりましたが、今回のプログラムを実行するにあたりご指導・ご協力いただいたすべての方に心よりお礼申し上げます。

<2017.6.23 更新>

現在、私たちは8月下旬の訪日プログラムの実施に向け、京都大学やインドネシア大学のサポートを受けながら準備を進めています。
また先日、当プログラムに協力していただいている京都ジョブパークを通じ、厚生労働省が行う地域活性化雇用創造プロジェクトの一つとして京都府からも支援をしていただくことになり、ただいまプログラム期間中に行うインターンシップや企業交流会等に参加していただけるパートナー企業を探しています。
プログラムが始まり次第、随時当団体のホームページ等で報告していけたらと思っています。

歩きスマホ撲滅に本気で取り組みませんか?―潜在意識への心理学的アプローチの提案―


申請者:文学研究科博士後期課程1回生 上田 竜平

<2018.3.18 更新>



「歩きスマホ」は近年、大きな社会問題となっているにもかかわらず、現状は利用者のマナーに委ねられており、有効な対抗策は確立されていません。本プロジェクトでは、認知心理学の研究に基づいたアプローチにより、歩行者の潜在意識に訴えかけるデザイン (人間の視線の画像)によって、「歩きスマホ」を減らすことができるかを実験的に検証しました。

京都大学生協様のご協力のもと、カフェテリアのある建物前で、「視線ポスター」を地面に設置し、歩行者の実際の様子を調査しました。9日間の調査の結果、仮説を支持する結果は残念ながら得られませんでした。すなわち、「視線ポスター」を設置した日でも、その他のポスター (「歩きスマホはやめましょう」というメッセージや花の画像)を設置した日でも、歩行者が「歩きスマホ」をやめた割合には統計的な差が見られませんでした。
その一方で、歩行者がポスターに注意を向けている程度が強いほど、その後に「歩きスマホ」をやめる割合が高いことが示されました。この傾向はポスターの種類とは無関係であり、「歩きスマホはやめましょう」という文字が書かれたポスターが、必ずしも最も効果的な方策ではない可能性が示唆されました。
この結果に基づくと、歩行者の目を惹きつけるようなデザイン (例えば、歩行者が通るたびに画面が切り替わる電子機器を埋め込んだ床など)を利用することで、外的に「歩きスマホ」を減らすことができるかもしれません。

今回得られた知見は、当初の仮説を支持するものではありませんでしたが、「大きな社会問題となっているにもかかわらず、現状は利用者のマナーに委ねられたままになっている歩きスマホ問題」に一石を投じうる取り組みになったと考えています。社会の大きな問題に対し、実験科学的なアプローチによって新たな解決策を提案するというプロセスは、現代の研究者として重要な使命だと認識しています (「役に立つ研究をより重視していくべきだ」ということとは、また違うように思えます)。今後もそうした姿勢を忘れず、研鑽を積んでいきたいと思います。

<2017.11.20 更新>



「歩きスマホ」は近年、大きな社会問題となっているにもかかわらず、現状は利用者のマナーに委ねられており、有効な対抗策は確立されていません。本プロジェクトでは、認知心理学の研究に基づいたアプローチにより、歩行者の潜在意識に訴えかけるデザインによって、「歩きスマホ」を減らすことができるかを実験的に検証しました。

京大生協様のご協力のもと、カフェテリアのある建物前で、「視線ポスター」を地面に設置し、歩行者の実際の様子を調査しました。調査は人通りの多い12~13時の時間帯に実施しました。9日間の調査の結果、仮説を支持する結果は残念ながら得られませんでした。
すなわち、「視線ポスター」を設置した日でも、その他のポスター (「歩きスマホはやめましょう」というメッセージや花の画像)を設置した日でも、歩行者が「歩きスマホ」をやめた割合には統計的な差が見られませんでした。
その一方で、歩行者がポスターに注意を向けている程度が強いほど、その後に「歩きスマホ」をやめる割合が高いことが示されました。この傾向はポスターの種類とは無関係であり、「歩きスマホはやめましょう」という文字が書かれたポスターが、必ずしも最も効果的な方策ではない可能性が示唆されました。
この結果に基づくと、歩行者の目を惹きつけるようなデザインを利用することで、「歩きスマホ」を減らすことができるかもしれません。

今後はより詳細な解析を行い、得られた成果を学術論文やフリーペーパー、Webページ等の媒体を通して、広く発信していく予定です。最終的には、本プロジェクトで得られた知見に基づき、アイデアの実用化を目指していきたいと考えています。

<2017.6.5 更新>



本プロジェクトでは、近年、日本を含めた諸国で社会問題となっている「歩きスマホ」対策のための、心理学的研究に基づいたアイデアの提案と、実験的検証を行っています。2017年6月現在、 アイデアの実験的検証のための社会調査実験を完了し、 データ解析に取り組んでいる最中です。

社会調査実験は、京大生協ルネ様のご協力を得て実施しました。建物入口付近の道路上にポスターを設置し、通行する人々の実際の行動を記録しました。ある日では、歩きスマホをしないように潜在的に訴えかける「視線ポスター」を設置しました。こうした視線の画像があるだけで、人間は他者のために(無意識のうちに)行動するようになることが、 これまでの心理学の研究から示されています。
別の日では比較のための条件として、「歩きスマホはやめましょう」と直接的・顕在的なメッセージが書かれたポスターや、植物の画像ポスターを設置しました。今後はデータ解析を実施し、通行人への潜在的な訴えかけの有効性を詳細に調べていく予定です。最終的には、 Webページ等のメディアを通して、成果の報告を広く行っていきたいと考えています。

本プロジェクトの実施にあたり、 ご寄付いただいた皆様、応援していただいた皆様、 ならびに調査実験にご協力いただいた皆様に、心よりお礼申し上げます。

教えと学びのプラットフォーム

申請団体:Starport.com
代表者:経済学部3回生 鷲見 まどか

<2018.2.25 更新>

SPEC2016の進捗報告も今回がひと区切りということで、私たちに挑戦の場を設けてくださったSPECはじめ京都大学の関係者様、基金にご支援いただいた皆様に感謝申し上げたく思います。ありがとうございました。

さて、私たちの「教えと学びのプラットフォーム」に関して、採択発表会で山極総長より「あんまりうまくいかない気がするけど、やってみなよ」というお言葉をいただいたのですが、結果としては、かねてよりご報告している通り、ユーザーが多く集まりませんでした。 ただ、当サービスと完全に同じサービスの「teacha」が2017年12月にメルカリからもリリースされ、目の付け所は悪くなかったのではないかと自負しています。実際、メルカリの人事担当者にプレゼンをしたこともあります。

シェアリングサービスはあらゆる領域で拡大し、車や家はもちろんのこと、ロッカーやペットの散歩までに広がっています。しかし、スキルシェアとなると、効果が確実に対価から想像できるものではない、継続して同じ人に教えてもらう必要があるなど、WEBサービスと親和性が高くない点があります。また今回、私たちは完全に独自でコンセプトとサービスを0からつくり上げ、マーケティング方法もポスターやSNSなど草の根的な規模で終始してしまったことも原因かと思います。

いろいろと見直す点はありますが、このような挑戦の機会を与えていただき、一般の学生よりは確実に多くのことを学ぶことができ、挑戦し続け世界にインパクトを与えるサービスやモノをつくらなければならないというマインドが形成されました。さらなる大きな目標を目指し、日々邁進していきます。

<2017.11.28 更新>

サービスの認知向上のため、近隣飲食店や大学内でのポスター掲載や、京大内、他大学でもビラ配りを実施し、またSNS等での宣伝も行いました。ただ、思うようにユーザーはなかなか集まらないというのが現状です。

この「好きを話す場」というなじみの薄いコンセプト自体に課題があるのかもしれない。自分でスローガンを立て、それに協賛する仲間を集めるといったクラウドファンディングサービスに近い形が理想なのかもしれないと、いま一度、コンセプトやサービス内容を見直す必要を感じています。

現在は以前から学生のうちに挑戦したかった海外留学の真っ最中のため、拡大期にはまだ突入できていません。今後、大学で始めた本サービスの経験と海外での知見を足し合わせ、より良いアイデアを模索し、サービス拡大に向けて邁進していきたいと思います。

<2017.6.12 更新>


当初考えていた「大学生のスキル交換サービス」というコンセプトを「好きを話す場」へ変更しました。

我々は、「誰もが自信の持てる世界」の実現について、議論を重ねてきました。「果たして、 スキルをつけるだけで達成できるだろうか?」と。その結果、掲げた目標に対する成否よりも、継続して努力する過程こそが自信を形成する最大の要因だと結論づけました。新しいことを継続するために必要なのは、志を共にする仲間です。この達成は「好きを話す場」で実現できると思い、このように変更しました。

ご支援いただきましたお陰さまで、今まで独力で行っておりましたWebサイト構築を、 エンジニアと共に行え、 Webサイトが完成しました(http://starportz.com/)。
まだまだ機能の実装を拡充させていきます。また、広く使用していただくため、 サービス認知の拡大を地道にではありますが、東京と京都を中心に行っています。今後、 Web上で新たな団体を生み出せるようなサービスにしていきたいと思っています。引き続き温かい目で見守っていただければ幸いです。

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