京大生チャレンジコンテスト
(SPEC:Student Projects for Enhancing Creativity)
パプアニューギニア
未調査エリアへの探検
代表者:経済学部3回生 浜田 錬
<2020.2.28 更新>
〇活動を振り返って本プログラムによって、他の支援制度では医療上・治安上の問題から難しかったエリアへ渡航でき、可能な限り安全に移動し、設定していた目的を遂行することができました。
このような活動を通じて、現地についての詳細な情報の収集に加え、特に感染症対策などリスク管理能力を洗練し、以後の活動の安全性を高めることにつながりました。
皆様のご助力なくしては今回の計画を実行に移すことは不可能でした。ご支援いただき本当にありがとうございました。
〇経過報告
最終報告書をとりまとめ、kindle(下記リンク)にて出版しています。レイアウトなど見苦しいところはありますが、現在、適宜編集を行っていますので、ご容赦いただけましたら幸いです。
最終報告書の射程としましては、以下の資料が含まれています。
1.行程表や装備表、医療マニュアルといった諸計画書および渡航前の準備段階における施策と状況を報告する文書。
2.現地の農作物や外来の生物の問題、および多国籍なマフィアが介在する銃とマリファナの違法交易などを取り上げ、それらを先行研究とともにまとめた現地報告書。
3.今回の計画そのものを一つの実践コミュニティにおける活動とみなしたメタ視点での計画報告書。
4.行程報告・装備報告・医療報告など、今回の計画におけるリスク管理を総括する報告書。
『京大探検部パプアニューギニア遠征隊報告書』(編集中)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0855DKQYW/ref=cm_sw_r_cp_api_i_x6-vEbE5BTVHX
〇今後の予定について
・特にマリファナを介する違法交易に関して、それが普段は接触することのない高地の人間と低地の人間との間でなされる秘匿化された協同活動であるという点に注目し、それがいかなる主体性のうちに可能となるのか、それがいかなる影響をもたらすのか、についてより深く探求していきたいと考えています。
・2020年9月6日に大阪のOMMビルで行われる第八回文学フリマ大阪に出展予定です(サークル名:京大探検部パプアニューギニア遠征隊)。ブースやウェブカタログなどについては、公開され次第ご報告いたします。今後の報告はツイッター京大探検部熱帯プロジェクト(https://twitter.com/ecku_trop)をご覧いただけましたら幸いです。
・Amazonなどウェブストアでのオンデマンド出版に向け、現在活動を開始しています。
・大学院等での活動継続を視野に入れ、さらなる情報収集に努めつつ、次回渡航の計画についてブラッシュアップを行っていく所存です。
<2019.10.15 更新>
◯経過報告・今回の計画における最終報告書において、下記の2つの冒険的な取り組みを設定しています。
①文化人類学における存在論的転回論者の一人であり、ポスト自然の人類学にカテゴライズされるイギリスの社会人類学者ティム・インゴルドの『メイキング』を軸とし、ストーリーを構築する。氏は哲学者ドゥルーズの「逃走線」概念を発展させ、道や音の旋律、移動の軌跡や物質の輪郭などから「線(line)」を見出し「ライン学(linealogy)」として比較人類学的な検証を加えつつ、動的で中動態的な生命観を構築している。本書においては、人類学、考古学、芸術、建築(Anthropology, Archaeology, Art, Architecture)の4つのAを対象とし、それぞれの「つくること(making)」に関して横断的に考察しつつ、ハイデガーやベイトソンを踏まえながら、ドゥルーズ・ガタリ、デリダに類似するラディカルな捉え直しを主張している。本書において示されるのは、質料形相論の否定という意味での仮説検証スタイルや恣意的な民族誌の実践の否定であり、知ることとは対象として見ること(外側から見ること)ではなく、それとともに変化しながら知識を得るということ(内側から知ること)であると結論付けながら、それを人類学の実践と位置づける。「動くことによって知るのではなく、動くことこそが知ることなのだ」。
②上記のように認識を中動態的に捉えながら、複数人による今計画についての報告として、一種のメタ的視点として成立させる。
・最終報告書の構成について
現地の農作物、外来生物の問題、銃とマリファナの違法交易の3つを報告の主要トピックとして取り上げ、現地において人々がどのように生きられているのかについて報告を行います。加えて、現地での行動や出来事、準備段階での心境やリスク管理のための各種資料や取り組み、計画書などを網羅的に取りまとめ、さらにメンバーの所属する京大探検部を実践コミュニティとして定義することで「今回計画について」の報告とします。
◯報告成果
・mont-bell様 アウトドア情報誌『OUTWARD84号』
(2019年秋号)
モンベルクラブ・ファンドから支援を受けた計画の中から推薦を受け、支援先リポートという形での報告を行いました。同号には山極総長と、創業者である辰野勇さんとの対談が収録されており、意図せぬ共演となりました。
・日本・パプアニューギニア協会様
協会誌『ごくらくちょう64号』
今計画において情報収集や現地との連絡という形で大変お世話になりました、NPO団体の日本・パプアニューギニア協会様発行の協会誌において、いち会員の立場から渡航報告を行いました。
http://www.jpng.or.jp/magazine/2019/10/11/bird_of_paradise64.pdf
・YouTubeにて小ムービーを公開しています。下記リンクよりご視聴ください。
https://youtu.be/aPEz_pDDeT4
◯今後の予定
・現地での行動記録や渡航地域の情報に加え、リスク管理用資料や計画書なども網羅的に取りまとめた最終報告書を作成し、次回報告とさせていただく予定です。
<2019.5.31 更新>
申請者2名を含むメンバー3名は、今回皆様からのご支援を賜りまして、パプアニューギニア西部州のフライ川中流域において2月6日~4月5日までの2カ月にわたる活動を予定通り無事に終えることができました。そのご報告をさせていただきます。
我々は、「調査渡航がほとんど行われていない南部低地の内陸エリアに渡航し、資料の乏しい当エリアにおける情報を収集する」という目的を掲げ、西部州の中心都市であるキウンガから、モーター舟にてフライ川を計1000km程度移動し、道中に点在する村々にそれぞれ約1週間ずつ泊まり込んで活動を行う、という計画を立てました。
現地財団であるOTDF(Ok Tedi Development Foundation)に燃料等のご支援をいただき、無事計画を実行に移すことができました。実際に現地に赴くことで、生活様式等の基本情報のみならず、強引な国境線策定が生み出した難民問題、インドネシア国境警備兵による襲撃事件などといった、当エリアにおける表面化していない諸問題について新たな知見を得ることができました。
記録的な渇水に伴う水路消失や燃料代高騰などの問題により、現地において計画の一部変更を余儀なくされましたが、詳細につきましては後日報告いたします。
突然の発熱や治安に関する問題など、2カ月の間にさまざまなアクシデントはありましたが、今回無事に帰ってくることができました。これも、見ず知らずの我々を快く受け入れてくださったパプアニューギニアの方々、ご協力していただいた皆様のおかげと感謝しています。ご支援していただいた皆様方に、この場をお借りして、お礼を申し上げます。
なお、渡航にあたって作成した計画書および医療マニュアルは下記の通りです。
・計画書
https://drive.google.com/file/d/1ZHiQ3Ny_BJE5Bi_zL6N-DXdp3iRPAHye/view?usp=sharing
・医療マニュアル
https://docs.google.com/document/d/1br7EmQ_doRKupDZFMCc8ent3WIYodQY42nYnGwGFCck/edit?usp=sharing
【今後の予定】
フィールドノートや各種資料を参考にしつつ今回渡航の内容を再構成して、それらを配布可能な冊子にまとめて活動報告書を作成します。報告会の開催を検討するほか、現地での活動要素の記録をまとめた小ムービーを公開する予定です。 また、日本パプアニューギニア協会の会誌『ごくらくちょう』に簡易報告書が掲載される予定です。
iGEM2019で勝てるチームを戦略的につくる
代表者:理学部1回生 島添 將誠
<2020.3.3 更新>
iGEM Kyoto 2019は「洗濯で生じるマイクロプラスチック」の回収をテーマに研究活動を行いました。このテーマと研究成果をもとに、ボストンでの合成生物学の学生世界大会 “iGEM”にて研究発表を行いました。【ボストン大会にて、金賞と2つの部門賞ノミネートを獲得!】
結果、iGEM Kyotoは金賞と、未だ獲得したことのなかった部門賞のノミネート2つを獲得しました!
ノミネート1つ目は“Environment”で、環境問題に挑んだチーム(57チーム)の上位5チーム、2つ目は“Best Parts Collection”で、優れた人工遺伝子のコレクションを作成したチーム(全チーム中上位5チーム)に与えられる賞です。過去のKyotoチームでも、日本チームの中でも、最高の成績を収めました。
今回の私たちのプロジェクトの目標は「洗濯から生じるマイクロプラスチック」の回収です。今回の研究では、「洗濯から生じるマイクロプラスチック」を凝集させて沈殿させるタンパク質を開発しました。実用には継続した研究が必要ですが、このアイディアは将来マイクロプラスチック問題を解決するうえでの一助となる可能性があります。今回の研究成果とこの1年行ってきたさまざまな活動を日本語でまとめましたので、こちらをご覧ください
また、すべての活動がWikiというホームページに記録されているので、細かいところまでご覧いただけるとこのプロジェクトについてさらに詳しく知ることができます。
https://2019.igem.org/Team:Kyoto
【続くファイナリストへの挑戦】
2019年度はSPECで100万円の支援をいただいたことにより、実験費用などにおける自己負担が大きく軽減したため、新しくメンバーとして参加してくれる学生が増え、チームの大きな強化につながりました。そして、新しいメンバーとそれぞれの長所・特技によって、さまざまなことが実現できました。研究のテーマをユニークでかつ現実性のあるものにしたこと、施設・企業への取材を通して研究のアイディアを熟成したこと、短い期間でも実験を完遂したこと、完成度の高いWikiをつくれたこと、などなど。結果として、過去10年以上にわたるiGEM Kyotoの歴史の中で、最高の成績を収めることができました。ご支援いただいた皆様に改めて感謝申し上げます。
2019年、SPECでの皆様のご支援なくしては、活動を継続することができませんでした。これからも活動を継続し、学部生が自分のアイディアで研究を進め、それを通じてさまざまなことが学べる貴重な場を維持していきたいです。2020年度もクラウドファンディングやスポンサー募集などを行っていきます。どうか、今後のiGEM Kyotoも応援よろしくお願いします。
iGEM Kyoto HP: https://igemkyoto.github.io/finance.html
文責:島添 將誠
<2019.10.9 更新>
iGEM Kyoto 2019は「洗濯で生じるマイクロプラスチック」の回収をテーマに研究を行っています。このテーマと研究成果をもとに、ボストンでの合成生物学の学生世界大会 “iGEM”に挑みます。・マイクロプラスチックを「凝集」させるタンパク質
「洗濯から生じるマイクロプラスチック」の問題(詳しくは前回の報告を参照ください)を解決するため、議論を重ね、たどり着いたアイディアは「タンパク質で凝集させる」というものです。洗濯排水と共に流出した「糸くず」は下水処理場で主に行われる「沈殿させて回収する」という処理方法では、小さなものは回収しにくいという欠点があります。私たちは小さなものでも、糸くず同士をくっつける「のり」のようなタンパク質を混ぜ、凝集させて大きくすれば回収が容易になると考えました。そして、そのようなタンパク質を人工的につくって、期待どおりに働くかどうかを実験で示そうとしています。
プロジェクト名をmy Clothes’ Plasticに決定し(my Clothes’とmicroをかけています)、さらにそのデザインも決定しました。細かなところにもこだわってデザインをし、ようやく大まかなWikiのデザインが出来上がってきました。どうすれば、目を引きつつ、見やすく理解しやすいWikiにできるかを考えながら日々改善を重ねています。最新のWikiは以下のリンクから見ることができるので、ぜひご覧ください。Wikiの編集締め切りまでかなり忙しい状態が続きますが、メンバー全員で頑張って乗り越えていこうと思います。
https://2019.igem.org/Team:Kyoto
・Human Practiceの活動
iGEMでは、実験以外にも自分たちの研究に関連して外部に働きかけるような活動も評価されます。これをHuman Practiceと呼びます。
iGEM Kyoto 2019の活動も、10月31日~11月4日に開催されるボストンでの大会に向けて、いよいよ大詰めの時期に入ってきました。ご支援いただいた皆様に改めて感謝を申し上げるとともに、ご期待に沿えるよう残りの期間全力を尽くしていきます。
<2019.6.3 更新>
iGEM Kyoto 2019は、学部生有志が集まって生物学に関する研究を行い、2019年10月31日から11月4日にアメリカのボストンで開催される合成生物学の学生世界大会であるiGEMに参加し、その研究成果を発表します。研究活動を通してメンバーがさまざまなことを学び、大会において上位入賞することを目指しています。・2019大会への参加登録が完了しました!
大会への参加登録の為に2019年3月にチーム参加登録費として5000 USDを支払う必要がありました。皆様にご支援いただいたお陰で支払いを完了することができ、無事、大会出場が決まりました。お礼申し上げます。
また、この参加登録によって過去の世界中のiGEMチームが開発してきたさまざまな遺伝子パーツや、人工合成DNAを利用することも可能になり、今年のプロジェクトの第一歩を踏み出すことができました。
春休みや新学期に積極的な新歓活動を展開し、7人の新入生を迎え、合計12人で2019チームをスタートしました。
・今年の研究テーマは「洗濯で発生し、海に流れ出るマイクロプラスチック」
現在、日常的に使用しているプラスチック製品が小さな粒子となり海に流出することによる「マイクロプラスチック汚染」が、全世界的に問題となっています。これらの問題からプラスチックストローやビニール袋の使用を全面禁止する国も増えつつあります。
実は、このマイクロプラスチックが毎日の「洗濯」からも発生していることをご存知ですか? 私たちが着ている服には化学繊維を利用しているものが多くあり、洗濯で生じる化学繊維、すなわちプラスチックの「糸くず」が下水に流れて、その一部が海に流れ出てしまっているのです。驚くべきことに、最近の研究では1回の洗濯で最大73万本もの繊維が放出されることが明らかになっています(Napper & Thompson 2016)。
私たちはiGEMでも、研究対象とされることの多いマイクロプラスチックの中から、「洗濯で生じるマイクロプラスチック」について注目し研究を行うことにしました。生物の力を借りてマイクロプラスチックを「捕まえ」たり、「分解」したりする方法やその効率化を模索し、この問題を解決する一助になることを目指します。
・これからの活動予定
例年に比べテーマを決定するのに時間を要しましたが、その分、じっくりと吟味したうえでテーマを選ぶことができました。いただいたご支援をもとに、6月から準備段階となる実験を始め、夏休み(8~9月)には本格的な実験を展開していきます。今後の報告にもご期待ください。
Everyone can be a model
代表者:経済学部4回生 鈴木 七海
<2020.3.1 更新>
私たちは、誰もが外見のコンプレックスを持たず、自分に自信を持つことができる社会を目指して、特に「男らしい」「女らしい」といった、性別によって制限されてしまう外見上の制約を撤廃することを目標として始めました。どうしてスカートをはくのは女性だけなのか、どうして男性がピンク色の洋服を着ていると変に思われてしまうのか。そんな「こうあるべき」という固定観念を撤廃し、誰もが自分の思う通りの格好をして、自信を持ってほしいと思い活動してきました。
Dear S/he プロジェクトとして、前回の更新から以下のことを実施しました。
当初、男女の服装を入れ替えての撮影会を行うことを考えていました。
しかし、私たちは悩むことになりました。私たちが目指すはある種の社会問題の解決ですが、その解決のために他の社会問題を引き起こしてしまうのではないか、という可能性に思い至ったからです。
例えば、服飾産業では、多大な廃棄物処分などが問題になっていますが、撮影会のために新しい服を購入したり、すぐに廃棄してしまうようなことがあってはなりません。そこで、撮影会に先立ち、古着を回収したのですが、思った以上に集まったため、2019年11月初め、来場者は誰でも古着を持ち帰っていいという企画を行いました。女性が寄付してくださった古着を男性が持ち帰ってくれたり、「この洋服は女性用、男性用」といった固定観念から自由になって古着を持ち帰ってくれました。
この活動は、「誰もが外見のコンプレックスを持たず、自分に自信を持つことができる社会を目指す」ことに些細な影響は与えつつも、大きなインパクトをもたらすものではないかもしれません。しかし、さまざまな分野での廃棄物が問題となり、SDGsの目標12に「つくる責任つかう責任」と定められていることから、この点に対してのインパクトのほうが大きいかもしれません。これもまた社会全体で取り組むべき問題であり、また、今回の企画が好評で、200着以上の古着が集まり、60名以上の方に参加いただいたことから、今後も定期的に実施していきたいと考えています。
参加者の中から撮影に協力していただける方も見つかり、残った古着を活用した撮影会を行うことにしました。
②クリエイティブライティングのセミナーに参加
メンバーも協力団体の皆さんも、就職活動やインターンシップなどで多忙となり、プロジェクト進行が難しい場面が増えてきました。そこで、学生以外の方のお力も借りるため、クリエイティブライティングのセミナーに参加することにしました。このセミナーでは、個人雑誌・ZINEの制作を学ぶことができるのですが、1年間かかるため、代表の鈴木の卒業に間に合いませんでした。
しかし、協力いただける方が増えたことで、1年後には確実に大きなインパクトを与えられるZINEを完成できると思います。
③ハフポストに記事を掲載
外見に関する考え方を取り上げていただき、ハフポスト(アメリカのオンラインメディア)から2本目の記事が公開されました。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5d5f4a7de4b0b59d25724dbc
ハフポストとは継続的にコラボしていくため、4月からもミーティングを行う予定です。
④京都大学起業部でピッチプレゼンを実施
京都大学で起業部が発足したので、そちらのイベントで何回かピッチをさせていただきました。銀行の方や起業家の方もいらっしゃり、さまざまなアドバイスをいただきました。
最初に計画していたプロジェクト内容には含まれていないイベントを実施したり、ZINEの完成に思っていたよりも時間がかかってしまったりと、紆余曲折続きのプロジェクトでした。
しかし、SPECによる支援があったから、クリエイティブライティングのセミナーへの可能になりましたし、注目していただけることも非常に増え、大手メディアにおいて私たちの考え方を発信したりすることができるようになりました。また、イベント開催やピッチ活動などに専念することができました。
SPECを通じて私たちに支援してくださった皆様に心から感謝申し上げます。 代表鈴木の卒業後もプロジェクトを続けていく予定ですので、応援よろしくお願いいたします。
<2019.10.15 更新>
●私たちEveryone can be a modelはプロジェクト名を『Dear S/he』に変更しました。S/heは性別を問わない3人称の代名詞です。
私たちは、誰もが外見のコンプレックスを持たず、自分に自信を持つことができる社会を目指して活動してきましたが、テーマが非常に壮大であり、長いプロジェクト名を覚えていただけないこともありました。
そこでまずは身体的特徴の悩みよりも、性別を問わず、男性だけど化粧をしたい子など、さまざまな志向を持つ人たちを受容するところから始めたいと考えています。
●協力団体が決定しました。
芸術に関する活動を行っている学生団体『Boy Meets Art』とのコラボが決定しました。
以下彼らの活動実績です。
https://www.instagram.com/boy_meets_art/
https://boymeetsart.com/
彼らはメンバーのそれぞれが、創作活動に従事しており、主に創作に協力してもらう予定です。
●雑誌作成のための撮影会を12月に行う予定です。
カメラマンが決定していますので、今はモデルを探しています。
以下撮影のテーマです!
・男女問わずに化粧やパックをしている様子を撮影
・男女一緒に日傘をさしている様子を撮影 など
成果物の発表を楽しみにしていてください。
<2019.6.17 更新>
皆さんこんにちは。私たちは、「誰もが自分の外見にコンプレックスを持たず、自分に自信を持てる社会」を目指して活動しています。
【共感を広げた半年間】
私たちは採択後から半年あまり、まずは、外見のコンプレックスに関する問題意識をシェアすること、多くの人の外見のコンプレックスに関する悩みを聞くことに注力しました。週に1度のミーティングを重ねてきました。
① 対面でのヒアリング
一般の方々を対象に、どんなことが自分のコンプレックスなのか、自分の外見についてどう思っていて、どうなりたいのかインタビューを行いました。およそ20名にインタビューをし、5名ほど撮影にも協力していただきました。
お話を伺った方の中には、拒食症になってしまった方や、外見に関して心無いことを言われ、悲しい思いをしてしまった人がいます。一方で、「かわいいから」という理由で他者から妬まれて、嫌な思いをした人もいます。
一方で、私たちのビジョンを話すと、「容姿に問題がないあなたたちが、外見至上主義に問題意識を持つことに対して共感できない」とおっしゃる方もいました。
容姿に問題や悩みを抱えているほうが説得力がある、というのもおかしな話ですが、すべての人が、私たちの発信によって傷つかない方法を模索する必要があると思いました。
② 合計100本ほどの美に関する記事や論文をチェック
外見に対する自己肯定感についての国際比較をはじめ、美や外見コンプレックスに関する記事、企業の取り組みなどについて調べました。
その中で、いくつか思うことがありました。
外見に関しての問題点がいくつもあることがわかりました。
「外見について言及することが問題であれば、褒めることも悪いのか」
「今のメディアは、かわいくない、かっこよくないと評価される人に対して、“もっと自分に自信を持って”とエンパワーメントしているのではないか。外見の悪口を言うほうが悪いはずではないか」
など、いろいろと考えさせられました。
また、ひと口にコンプレックスと言っても、外見で判断されたくない気持ち、されたい気持ちとが複雑に交じり合っている感情があることにも気づきました。
③ 個人のSNSアカウントを利用して、外見に関する発信
自分たちのコンプレックスに関する意見をTwitterやInstagramに投稿すると、100リツイートほどされることが多々ありました。
多くの人が気づいてないようなコンプレックスに関する話題になると、特にリツートやコメントが増えました。
また、私たちの考え方が注目され、ハフポスト(アメリカのオンラインメディアで、日本版もある)へ投稿することになり、1本の記事が公開されました。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5d230375e4b04c481416b3e8?utm_hp_ref=jp-konpurekkusu
④ メンバー間でのコンプレックスのシェア
外見で人を判断し、女性であれば痩せていたり、色白だったり、男性であれば、筋肉がついていたり、身長が高くなければいけないようなプレッシャーを感じることについて、その原因究明をするため、何度も、自分たちのコンプレックスについて話し合う機会を設けています。
その中で、外見に対してだけでなく、内面のコンプレックスも私たちは持っていることを重要視するようになりました。
2018年12月、京都リサーチパーク(KRP)町家スタジオで、30名ほどの方々にピッチを聞いていただきました。
ベンチャーキャピタルやスタートアップ、ご自身で会社を経営している方々10名ほどに、事業案に対するアドバイスをいただいたほか、2019年4月からは京大起業部に参画し、毎週のミーティングで事業案のブラッシュアップをし、7月13日には総勢50名ほどの前でピッチを実施しました。
【行動する半年間】
今までの取り組みを踏まえ、今度のスケジュールを以下のように定めます。
当初予定では、ウェブメディアを作成するつもりでしたが、ヒューマンリソースと実現可能性を加味し、紙媒体の制作に注力することにしました。
7月:印刷会社に営業
8〜9月:賛同者と企画内容を詰める
10月:編集、印刷を行う
11月:雑誌を置いてくれる本屋さんを探す
12月:ローンチパーティを行う
Kistory ~ 思いをこめて次世代へ ~
代表者:総合人間学部2回生 西道 奎
<2020.2.17 更新>
2019年12月21日には百万遍知恩寺の大方丈をお借りして、「Kistory2019~タンスからの贈り物~」を開催しました。受贈者の参加者は男性6名、女性17名の計23名となり、昨年度より男性参加者が大きく増加しました。夏は浴衣を贈呈しましたが、冬開催ということで、冬に着用する袷(あわせ)をお譲りしました。今回も受贈者の方には事前に着付けを練習していただき、全員が自力での着付けおよび畳み方を習得しました。
また、前回の報告で「受け渡した着物を着て参加できる楽しいイベント」について触れましたが、今回、贈呈式の流れで京都水族館を散策するイベントを開催しました。着物と水族館というあえて普段は思いつかない取り合わせを体験してもらうことで、今後着物を着る機会が増えれば幸いとの思いから、このロケーションを選択しました。
最後に、私は責任者としては2020年3月に引退となりますが、この企画の理念を汲み、跡を継いでくれる人がいる限りKistoryが存続することを願います。
<2019.10.9 更新>
活動報告としましては、6月23日に京都大学にて、Kistory夏Ver.と題しまして参加者さんに浴衣をお譲りするイベントを新たに開催しました。この浴衣は、昨年冬のイベントでは季節違いから残念ながらお譲りできなかったものです。このまま私たちが受け取った着物を眠らせることはしたくないということで開催に至りました。
イベントには大学生を中心に40名ほどが参加し、浴衣を授与するほかに浴衣着付け講座、着物を着て行える茶道などの体験ブースを楽しんでいただきました。
今後について、昨年同様12月にもKistory開催予定です。昨年からも意識していたことですが、「着物を受け渡すだけでなく今後も着てほしい」という点を今回は重視し、受け渡した着物を着て参加できる楽しいイベントを同時開催できればと思っています。
これからも皆さん、どうぞよろしくお願いします。
<2019.5.31 更新>
Kistoryでは、箪笥の中に何億枚も眠っていると言われる着物を、思いを大切に次世代へ受け継ぐ活動を行っています。化繊の着物が生産される一方、手間暇かけてつくられ受け継がれてきた着物が箪笥の中に眠ったままではもったいない、という発想から始まり、着物文化継承の一端を担うとともに、Kistoryを通して、大量消費・大量生産が当たり前となってしまった社会に対し、着物と共にあった価値観、「長く使うこと」の意義を改めて問いたいと考えています。
昨年度は、着物の募集から始め、着付け練習などを経て、2018年12月22日、京都大学時計台記念にて、着物の受け渡しを行う贈呈式を開催しました。
昨年の募集で集まった着物は500点以上に上りました。「母からもらった着物だから」、「大切にしてきたから大切にしてくれる人に渡したい」などの理由で、売りには出したくないという方がいらっしゃるのではないか。そう予想し、始めた事業でしたが、想像をはるかに超える数の着物を寄付いただき、驚きとともに、箪笥に眠っている着物が数億枚存在するということを、身をもって実感しました。
着物を受け取る方々はSNSや広告などを通じて、着物に興味があっても値段が高いなどの理由でなかなか手を出せないでいるような若い人(主に学生)を対象に募集しました。着物を受け取りたいと手を挙げてくださった皆様の中には、自分で着付けをするのは初めてという方も多くいらっしゃいましたが、熱心に着付け練習に励んでくださいました。
昨年度は、私たちも模索しながらの取り組みだったので、さまざまな点で至らない部分もあったかと思いますが、受贈者の方々の柔軟な対応にたくさん助けられました。
その後、寄贈者の方々へは当日の写真と一緒にお礼の手紙をお送りしました。私たちの着物募集の呼びかけに対し、送料負担にも関わらず、温かいメッセージとともに丁寧に梱包しお送りいただいた着物を見て、寄贈者の皆様の思いを損なわないよう、これからも活動していきたいと切に感じています。
受贈者の方々には、着物を着る機会を提供したいと考え、「南座へいこう」と題した企画を実施。5月14~15日に開催された京都ミライマツリへ、受贈者とKistoryメンバーとで着物で参加しました。南座内外で写真を撮り少しおしゃべりをした後、各自で自由に楽しんでいただきました。平日の放課後はなかなか時間が取れないという方が多い中、参加者からは、「着物を着て行きたくなるイベントで楽しかった」と感想をいただきました。
Kistory実行委員にとって、アフターイベントの規模としてはまだまだ物足りないところではありますが、これまで問題視してきた、「贈呈式後の着物を着る機会の提供」という課題に取り組んでいく足掛かりにはなったのではないかと感じています。再び箪笥の肥やしとなってしまわないように、2回行った着付け練習が、これからも着物を着続ける助けとなればと願っています。
今年度は、6月23日に浴衣ヴァージョンのKistoryも行います。夏祭りなど浴衣を着る機会が多くなる季節でもあるので、着物ではハードルが高いと感じる方にも気軽に参加いただきたいと思っています。
これからも試行錯誤しながら活動を続けていきますので、ご支援やご意見をいただきますようお願いいたします。
"私たち"の多文化共生 ~若年世代の「場」をつくる~
代表者:文学部3回生 今岡 哲哉
<2020.3.27 更新>
SPECでの活動は、社会学を学んでいる私たちが本当の「社会」に触れ合い、その問題を考え抜くことができた貴重な機会でした。2018年の入管法の改正で日本の外国人政策が大きく転換する中、3名の学部生がSPECでの入賞を機に、実際に外国人住民の多い地域に飛び込みました。そして、地域住民の方に多くの形で助けていただきながら住み込み調査を行い、その成果を学術的な形でまとめるばかりでなく、外務省のスピーチコンテストや民間の懸賞論文コンテストなどで広める活動に取り組みました。社会学を学んでいるといっても、さまざまな研究助成を受けることのできる大学院生と違って、学部生が実際に助成金をいただいて活動できる機会はそう多くはありません。その点で、SPECは私たちに大いなる成長の機会を与えてくれました。
外国人の多い地域で体を張って活動する中で感じたのは、住民にすべてのしわ寄せが行ってしまう、日本の多文化共生政策に対する怒りでした。芝園団地に外国人住民が増えた原因は、一人ひとりの外国人の意思決定の積み重ねというよりも、外国人材を増やそうとした日本の政策に求めることができます。そのため、地域社会で日本人と外国人との良好な関係を構築するのに責任を負うべき存在は、本来何よりも国家であるべきですが、芝園団地ではほぼすべての責任が自治会を中心とする地域住民の手に委ねられてしまっています。こうした国家の「撤退」とも呼べる状況に、行政や政治、あるいは私たちが片足を突っ込んでいるアカデミアの世界は何をしてきたのだろうかと、忸怩たる思いにかられました。
この感情は研究の原動力となり、活動期間が終了してからも、いつまでも私たちを移民というテーマに向かわせることになるでしょう。社会学の扱う内容は、例えばジェンダー、格差、住宅問題、社会的孤立、貧困と多岐にわたりますが、私たちはその中でも移民に関する関心を強めることとなりました。同時に、狭い学問の堂宇にこもることなく、頭と体を動かしながら、現実世界の課題に取り組み続けなければならないと思うようにもなりました。実際、SPECでの活動を機に、メンバーの一人はイギリスの大学院で移民研究を専門とするコースに進み、将来は国際機関で移民政策の立案に携わることを決意しました。若年世代の私たち「国際移動研究会」が、これから日本をより良い共生国家に変えていくことによって、ご支援いただいた皆様への恩返しとできれば幸いです。
<2019.10.9 更新>
1.団地の中で前回の進捗報告時は5月でした。春休みを終えた後はおおむね月一度のペースで団地に向かい、自治会の役員会に顔を出したほか、川口市役所の方にお話を伺ったりしました。再び8月から団地に部屋を借りて、12月一杯までの居住を予定しています。団地で起きた変化といえば、6月には日本人の経営する最後の飲食店だった「喫茶 のんのん」が閉店し、9月末には中国人経営のタピオカミルクティー店が開店したことでしょうか。加えて、自治会役員の大島隆さん(朝日新聞記者)が芝園団地を題材にした本『芝園団地に住んでいます』(明石書店)を出版されたことも挙げられます。
我々の活動が目指しているのは、実際に足を運んで体を動かして得た知見にアカデミックな分析を加え、広く社会に発信していくことです。その点で、2つの成果を挙げることができました。
まず1つめは、今岡が芝園団地を題材にした学会発表を英語で行ったことです。8月、京都大学・ソウル大学・国立台湾大学共催の東アジアジュニアワークショップにおいて、芝園団地を基準に日本の移民政策を問い直す内容の発表を行いました。このワークショップは、3大学で社会学を修める学部生・大学院生を中心とした若手向けの国際学会です。発表の冒頭でSPECから資金をいただいていることに触れると、発表後にその事実と金額に驚いた何名かの学生から声をかけられました。発表内容にも関心を持ってもらえたように思います。
2つめは、佐藤・今岡が外務省の国際問題プレゼンテーション・コンテストに出場したことです。今年で35回目になる本プレゼンテーションでは年々異なるテーマを採用していますが、今回はなんと外国人受け入れに関する提言でした。せっかくだからと提出したレポートが見事予選を通過し、本選のプレゼン大会に出場することができました。本番は10月初旬で、ファイナリストは10組でした。残念ながら入賞を果たすことはできませんでしたが、芝園団地で考えた多文化共生政策への提言を80名超の方々に聞いていただくことができました。
3.おわりに
SPECで活動資金をいただいたことで、我々は一般の学部生では得られない機会に恵まれ、学知と実践の相互作用を生み出すことができました。あと2カ月ほどの調査でわかったことを、再び学術・社会の場で発信していけたらと考えています。皆様の温かいご声援をお願いいたします。
<2019.5.27 更新>
私たちはSPECで「日本人と外国人との若者同士の交流の場をつくる」という目標を掲げ、中国人住民が数多く住んでいる、埼玉県川口市の芝園団地に住み込むことになりました。居住期間はほぼ予定通り2019年2月から4月の2カ月間に及びました。
住んでいる間、メンバーは自治会の仕事をお手伝いしたほか、団地で開かれているボランティアの日本語教室や、学生団体が開いている住民の多文化交流会にお伺いしました。また、当研究会のツイッター(https://twitter.com/migration_kyoto)・ホームページ(https://www.mskyoto2019.site)も開設し、緩やかにではありますが、情報発信も行っています。発信している内容は、団地での生活、書籍のレビュー、関係者のインタビューなどです。ぜひご笑覧ください。
2.今後の方針
今後の予定ですが、代表の今岡は8月から12月頃まで再び芝園団地に居住します。今岡は自治会の役員を務めることになり、今後は中国人住民向けにweChat記事を配信するほか、団地最大のイベントである夏祭りの運営に携わる予定です。
芝園団地では、日本人は高齢層、中国人はファミリー層が多いという構成のため、当初掲げていた若者同士の交流という目標を達成するのは難しいかもしれません。ですが、私たちが日本人の若者であるという特性を存分に活かして、団地の自治会や学生・ボランティア団体などと連携しつつ、文化の異なる住民の間で交流をつくり出せるように励んでいきたいと考えています。
食品ロスが削減できる野菜の切り方や調理法を探る
代表者:農学部1回生 米田 奈々子
<2020.3.10 更新>
●研究の変遷当初の計画は、野菜の過剰除去を減らすために、野菜の切り方を変えるというもの。
↓
最初にチェックをしていた農水省のデータでは、過剰除去には、腐敗により取り除かれた部分が入っていることがわかった。本当に切り方だけが問題なのか疑問を感じる。
↓
もう一度家庭における食品ロスに立ち返ると、過剰除去だけに注目しても、根本的解決にならないことがわかる。
なぜなら、過剰除去を起こす原因となる行動(買いすぎなど)が直接の廃棄の原因であったりして、食品ロスを取り巻くさまざま問題が相互に絡み合っているため。
↓
食品ロスを起こす原因となる行動を一連の流れとして考え、包括的に解決する方法がないか探る。
以上のような検討を経て、新しい事業計画を下記の通りとしました。
●事業内容
家庭における「食」のゆりかごから墓場までをサポートするアプリの開発
●事業詳細
献立作成・レシピ集・在庫管理・過剰除去しない切り方・皮などのおいしい食べ方・適切な保存方法・食べ残しの再利用方法、これらのすべてを網羅したアプリ
●背景 家庭においての食品ロスは日本の食品ロス全体の半分弱を占めており、大きな問題となっている。家庭における食品ロスはどのような理由、場面で発生しているのだろうか。
家庭において食品ロスが出るシチュエーションは大きく分けて下記の4つに分類できる。
1.買う段階
2.つくる段階
3.保存する段階
4.捨てる段階
それぞれを詳しく見ていく。
まず、買う段階では、購買計画を立てない、計画通りに購入しない、大きいサイズを購入してしまう、お店側の販売促進キャンペーン等の影響で購入してしまう、といった行動がある。そのため、本来ならば使わない量の食材を買うことになり、腐敗による過剰除去やや直接廃棄につながる。
つくる段階では、在庫を積極的に使おうとしない、在庫を把握していない、調理の量が多い、切りすぎているという行動がある。
保存する段階では、不適切な環境や方法で保存する、目の届かないところで保存するというような行動がある。それにより、過剰除去や直接廃棄だけでなく食べ残しにもつながっている。
最後の捨てる段階では、食べ残しの再利用をしない、五感判断で廃棄する、調理後の日数で廃棄するという行動がある。
以上ように、家庭の「食」にまつわるさまざまな行動により、食品ロスは発生している。
これらの行動の根底にあるのは、面倒くさいという感情や、そもそもどうしたらいいのかわからないといったものがあると推測できる。
では、現状あるサービスでこれらは解消できないのか?
ある一定程度は解消できそうである。例えば、買う段階での購買計画を立てないという問題は、献立アプリで解消できるであろう。また、つくる段階での在庫がわからないという問題は、在庫確認アプリが存在する。保存する段階については、ネット検索すればすぐに正しい保存方法が確認できる。これらのアプリやサービスを複数使いこなせば、もしかすると、家庭における食品ロスは問題でなくなるのかもしれない。
しかし、自炊をする私たちは複数のアプリを使いこなし、時間もないのに食材1つずつの保存法など検索しないだろう。
でも、これらが1つのアプリやサービスでできたらどうだろうか?
私は平日はほぼ毎日料理するが、1週間の献立を立てるために1時間くらいかかるし、いつの間にか棚の奥の食材は賞味期限が切れているし、ニンジンのへたなどざくざく切っているし、保存方法は全部ラップに包んで終わりである。
在庫を消費しながら、毎日の献立を立ててくれて、かつ保存方法と食べ残し活用術と、へたなどの無駄のない切り方が一目でわかれば、とても便利だと思う。時間もお金も節約できるだろう。切実にほしい。
そして、時間に余裕のある大学生の私でさえ思うのだから、世間の忙しい方々はもっと思っているに違いない。
これが、家庭の「食」を買う段階、つくる段階、保存する段階、捨てる段階すべてを網羅するアプリを開発しようと考えた経緯である。
<2019.11.11 更新>
●進捗報告本チームの研究は最初、野菜の過剰除去について重点を置いていました。しかし、次のような理由から、大きく方向転換することにしました。
・農水省のデータをはじめ、家庭の食品ロスに対する過剰除去のimpactが正確でない(サンプル数が少なく、信頼度に疑問が残る)。
・農水省のデータにおいて、腐敗した部分を除去した場合でも過剰除去に含めているため、もし、農水省のデータが正しかったとしても、不可食部分を除去する際に可食部分も除去してしまうという単純な過剰除去より、腐敗をすることが過剰除去の割合を引き上げている可能性がある。
・下記の「食品ロスの問題点」に対して、過剰除去を減らすことで得られる費用対効果が不明である。
「食品ロスの問題点」 ~そもそも、なぜ食品ロスが問題なのか? その問題を解決することで何につながるのか?
・ゴミを減らすことで、環境の負荷を減らす
食品をゴミとして廃棄すると、水分が多いため燃えにくく、より多くの水分が必要になる。
・食料自給率のUPにつながる
・「もったいない」という精神を養う
・温暖化対策
食糧生産のさまざまな段階で、GHG(温室効果ガス)が排出される
・食糧問題の解決
●今までの研究内容
家庭における食品ロスに対する意識アンケートを収集してきましたが、今後、統計学や消費者行動などの観点から「分析」そのものをメインテーマにしてもいいのではないかと考えています。
●変更後の研究内容
・腐敗する食品がどれだけ出ているか調査または文献を探す。
・食品ロスの問題点のうちいくつかをpick upして、過剰除去について減らすだけでなく、「活用」という観点でも検討する。
・「減らす」「活用する」ための方法、得られるメリット、デメリットについても検討する。
<2019.7.13 更新>
① 提案時のプランの確認提案時のプランの確認1,000人を対象に家庭における食品ロスについての意識アンケートを、スーパーでの出口調査という形で行います。意識アンケートでは家族構成や年齢、性別というパーソナルな部分から、1週間の平均調理回数や1回の調理の平均時間、家庭における食品ロスについてどれほど意識しているかを調べます。
そして、その結果をもとに、どの野菜の食品ロス(過剰除去による)が多いのかを明らかにし、どうすれば過剰除去を抑えられるかを考えます。
② 世間の食品ロスについての反応
・政府も動き出した!
食品ロス削減推進法案が5月24日参院本会議で全会一致により可決、成立しました。
→世間からの関心度も高まっています。
・世界に向けての発信
農水省が、外務省と連携して、G20大阪サミット等において、食品ロス削減を呼びかける啓発資材を設置しました。
→ 先進諸国に対し、日本も食品ロス問題の解決のために行動していることを示せました
しかし、これらの取り組みは基本的に事業者向けで、一般の消費者まで効果が届きにくそうです。
③ 今後の展望 家庭内における対策は介入の難しさや経済的事情からまだまだ発展途上なイメージです。本調査で家庭における食品ロスを考える足がかりになればと思います。また日本では、家庭における野菜の過剰除去から出る食品ロスが約20%弱(農水省のデータより)を占めます。無視できない数字であり、この調査は改めて意味のあるものだと考えます。
採択されてからの半年、データ分析の授業を受けて、最初に計画していたアンケート方法では正確なデータが取れないことがわかりました。質問内容とアンケートの方法をもう一度精査して、秋頃にアンケート調査を実施したいと考えています。
1,000件調査という大きな数を目指しているので、分析そのものをメインテーマにしてもいいのではないかと考えています。
④ 現在の進捗状況と今後の進捗予定
現在、アンケート調査と方法について勉強中で、統計学に基づいて、アンケート方法や質問内容の手直しを行っています。所属学科の先生や院生の方たちと相談しながら、今年秋までにアンケートを作成、冬にはアンケート調査を実施したいと思います。
- 1
お問い合わせ
総務部渉外課基金室
Tel: 075-753-5562
E-mail: shougaikikaku5*mail2.adm.kyoto-u.ac.jp (*を@に変えてください)