京都大学は1897（明治30）年、2番目の帝国大学として、また、わが国最初の研究型大学として創立され、2022（令和4）年に創立125周年を迎えました。「地球社会の調和ある共存に貢献する」ことを基本理念として、自由の学風のもと、新しい知的価値の創生とそれを担う人材育成に努めてまいりました。
　2017（平成29）年には文部科学大臣による指定国立大学法人の指定を受け、「柔軟な研究組織体制」、「若手研究者の育成と若い頭脳の国際循環」、「新しい人文・社会科学の創出と発信」、「実効的大学運営と財政基盤の強化」という大きな目標の具体化に向けて各種施策を推進しています。

　しかし現在、わが国の高等教育を取り巻く環境は変革期を迎えています。厳しい国家財政状況から、国立大学法人に対して持続的な競争力を持ち、高い付加価値を生み出す国立大学へ転換すべきとして改革促進が求められています。本学は基本理念を追求し、卓越した研究の展開と研究成果の活用を図り、大学の有する知的資源の価値化に取り組むとともに、社会からの理解のもと支持、支援を広げることで、改革の歩みを確かなものにしていかなければなりません。

　そのためには、諸外国のトップレベルの研究大学が豊富な資金を背景として研究力を高めているように、公的な財政支援だけでなく、民間企業等との連携、寄付、資産運用など多様な財源をもとに研究環境を充実させることが必要です。
　本学もそのような潮流の中で、世界と伍する研究大学としてのミッションを果たすため、自主財源の充実が欠かせません。財政的基盤の充実に資することを目的に設立したのが「京都大学基金」ですが、寄付の受け入れと運用益のさらなる拡充を図るべく、本学の卓越した知を活用した多様なプロジェクトを展開したいと考えています。