Vol.2 奨学生インタビュー

大学や分野選びは小学生の時の憧れから

 京都大学に触れた最初のきっかけは、小学生向けの体験教室に参加したことです。理科実験などを体験したのですが、現役大学生を見て「かっこいい! あんな姿になりたい」と思いました。楽しい思い出として心に残り、その後も、何度か同じようなイベントに参加しました。進学先として京都大学を選んだのは、経済的事情のため自宅から通える国公立大学を検討していたこともありますが、いくつかの大学のオープンキャンパスに参加して、やはり一番魅力を感じたのは京都大学でした。
 また、小学生の時にTVのドキュメンタリー番組でホワイトハッカーのことを知り、これまた「かっこいいな!」と。それで、工学部情報学科を志望しました。大学選びも分野選びも、すべて小学生の時の憧れが動機なんです。
 入学後の授業はほとんどオンラインでした。部活動に入部しても活動できないなら、と興味のある分野の勉強することに。1回生の間に応用情報技術者試験に合格することを目標に掲げ、無事達成することができました。

アルバイト選びも自らのスキルアップにつながるものを

 2回生の時、プログラミング教室で小中学生への指導アルバイトをしており、3回生からは、情報システム開発の仕事を掛け持ちしています。
 3回生の時にCFプロジェクトに採択されたのですが、奨学金を支給いただいたおかげで、給料面ではなく、自分の専門性を高め、スキルアップにつなげられるという観点でアルバイトを選択できるのはとてもありがたいです。
 4回生になって、希望どおりセキュリティやネットワークが専門の研究室に所属し、これから卒業研究に向けて準備を進めます。テーマは「ゼロトラストネットワーク」です。従来の境界型セキュリティは、内部と外部にネットワーク領域を分けて、外部からのアクセスをフィルタリングして、内部の安全性を高めるというモデルでした。しかし、ゼロトラストネットワークは「すべてのアクセスや通信は信頼しない」という考え方に基づくネットワークです。アクセスのたびに、主体の属性などを動的に判断して、認証認可を行います。高度化するサイバー攻撃や働き方の多様化、クラウドサービスの活用など、環境が変化する中でますますニーズが高まっているシステムです。

 無事、院試にも合格し、来年4月から修士課程に進学します。将来は、憧れだったセキュリティ分野のプロフェッショナルとして活躍したいと思います。
 京大生たちは単に勉強ができるだけでなく、さまざまなスキルを持っている人が多く、とても刺激になります。先輩たちのように、自分も論文や学会発表ができるようになりたいですね。また、2回生の時に履修した中国語に興味を持ち、スピーチコンテストに出場したりしていますが、グローバルな舞台で活躍するには第3外国語くらいまで必要になると思うので、これからも語学の勉強を続けたいと思います。

奨学金支給のために熱意やビジョンをアピールしよう

 奨学金受給により、金銭面・精神面の不安が解消され、学習の機会を広げることができました。これまでは断念していた専門書や技術書の購入費や、サイバーセキュリティ分野の資格取得にかかる検定料や教材購入費に充てながら、技術力向上に努めています。
 優れた成績や実績を残していないと奨学金を支給されないのではないか、と考えている学生は多いかもしれません。私もそう思っていました。でも、勉強や研究に対する熱意をアピールすることで、"今後への期待"という観点で採用されたのではないかと思っています。
 経済的な援助を必要としているけれど、自分には奨学金を支給してもらう資格がない、と思っている学生さんへ、将来のビジョンのためにこの奨学金が必要であるとアピールすることで採用されるチャンスはあるとお伝えしたいと思います。躊躇することなく、勇気を持って一歩踏み出してください。


(取材日:2023年8月)