パプアニューギニア
未調査エリアへの探検

申請団体:パプアニューギニア探検隊
代表者:経済学部3回生 浜田 錬

学術的な調査のほぼ行われていない
パプアニューギニア南部を探検する

 パプアニューギニアは「石器時代にいちばん近い国」と呼ばれています。内陸部には、西欧的近代文明とのファーストコンタクトを果たすたった60年ほど前まで、金属のない社会を営んでいる場所も数多くありました。

 また、言語や慣習などが異なる集団(ワントク≒民族)の数が極端に多く、 ニューギニア島内だけで750以上も存在しています。 そのため、調査資料のない地域の文化や生活状況などはまったくわからないというのが現状です。

 今回の対象地、パプアニューギニア南部の低地内陸地域は、 そんなニューギニアの中でもっとも調査の遅れているエリアの一つです。主にマラリアのリスク、人口の希薄さに伴う移動の困難さに阻まれて、 ヘリコプターなどを使った少数で短期の生物学調査を除き、学術調査がほぼ行われていないと言われています。 つまり、彼らが何を考えどういった生活を行っているのか、彼ら自身を除いて誰も知りません。

 さらに、上流の銅山による公害の影響を大きく受けているエリアでもあり、今探索しなければ、その公害によって彼らの情報が永遠に失われてしまう可能性があります。環境・文化・生活・経済面での彼らの現状をできるだけ明らかにすることが活動目標です。

町から100kmほど離れた、ヨンゾン族のカレンゴー村とテンイン村をつなぐ道。上流の鉱山の影響で道が水没している


カレンゴー村の入り口には舟でつける


カレンゴー周辺の破壊された熱帯雨林

 【現地で行うこと】
•インタビューや短期間の参与観察
•事前に内容を絞り、質問表などを用いた調査

質問票調査には、調査内容を事前に決めるため、我々の常識を相対化できないという大きな欠点があります。そのため、質問票は漠然とした"聞くことリスト"程度にとどめ、"予断なき観察"によって自らの社会の常識を相対化する余地を残します。

※生体試料などを用いるような侵襲性の高い「調査」は、倫理上の問題から行いません。
 また、言語の習得といった長期間の滞在が必要な活動も行うことができません。
※現地でのあらゆる活動が彼らへの迷惑になるということを肝に銘じ行動します。



代表者:経済学部3回生 浜田 錬(上)
メンバー:理学部3回生 中土井 洋平太(下)

【事前準備】
•2018年3月に同エリアへ10日間程度の事前調査を行い、信頼できる案内人を確保しました。現地の村に滞在し、今回の調査に必要な情報の下調べを完了しています。
•東京大学、千葉大学、京都大学などに在籍している、ニューギニアやオセアニアをフィールドとする教員らの指導を仰いでいます。
•日本パプアニューギニア協会に加盟。情報収集や人間関係を構築しています。
•人類学専攻などのフィールドワーカー志望の学部生を集めて、週に一度の会議を行っています。

【安全対策】
•医療的リスク
罹患リスクのある感染症はリストアップしフローチャートを作成済み。
マラリアに関しては、38度以上の発熱の際には即マラリア治療を開始し、飛行場のある街に移動します。
•生物的リスク
防蚊:蚊帳およびDEETが30%以上の忌避剤を使用。
防蛇:長靴にて移動し、コブラ科の血清を入手。
•人的リスク
都市では、強盗の危険がかなり高いため、ボディーガードなしでは出歩きません。
村では、渡航地域に首狩りと食人の風習が存在したことが示唆されており、黒魔術等のリスクから滞在中、村人が死亡した場合はすぐに村を離れます。

【到達目標】
書籍や学会の紀行文、報告書などの形で、今回の渡航報告を行います。また、帰国後半年以内をめどに、写真やパネルなどを用いた報告会を行う予定です。