聴覚障がい者が楽しめるバリアフリー寄席の開催

申請団体:京都大学落語研究会
代表者:経済学部2回生 田中 健志郎


字幕や共感照明などの演出を通して
聴覚障がい者が心から楽しめる落語を!

 ドラマや漫画、アニメなどの題材に取り上げられることが増え、幅広い年代に落語が受け入れられ、落語ブームとも言える状況になりつつあります。
 本来、落語は子どもからお年寄りまで楽しめるコンテンツであるものの、「話芸」であるため、特に聴覚障がい者にとって十分に楽しめるコンテンツとは言えません。私たちは老人ホームなどで落語を披露する機会も多いのですが、実際に「耳が遠くなると話芸は伝わりにくく、楽しむことができない」と言われたこともあります。
 すべての人、特に聴覚障がい者にこそ落語を通して笑いを楽しんでもらうにはどうしたらいいのか? これが私たちの課題でもありました。

代表者:経済学部2回生 田中 健志郎

 2015年9月の国連サミットで、SDGs(持続可能な開発目標)が採択され、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指した取り組みが、各国で推進されています。私たちは、落語を通じた笑いについても、取り残されて楽しめない人がいないように、落語を「誰一人取り残さない」すべての人が楽しめるものへと昇華させたいと考えています。

 そこで、私たちは主に聴覚障がい者を対象とした「バリアフリー寄席」を開催します。特別に準備するのは、落語字幕と共感照明です。特別支援学校などにも協力いただきながら進める予定です。
 これまで私たちが老人ホーム、小学校、特別支援学校、病院、外国人学校などで、それぞれの客層や状況に応じて出張落語を開催してきた経験も活かしながら、聴覚障がい者の方が心から楽しめるバリアフリー寄席の開催を目指します。

【具体的な計画】
・字幕については、単なる文字化ではなく、演者と綿密に打ち合わせをし、登場人物や客の目線に応じて字幕を出すタイミングや内容を工夫します。字幕はプロの落語家による海外公演でも用いられる手法であり、どうすれば笑いやすい字幕にできるのかヒアリングも行います。

・共感照明は、客の笑い声に応じて照明の明るさや色を変化させるというもの。お笑いがテレビではなく、劇場や寄席で観るほうが楽しみやすいのは、周囲の笑い声を聞くことで共感や一体感が生まれ、笑いやすい空気感が形成されるからです。そのため、こうしたライブ感を視覚的につくり上げる舞台装置として、共感照明を設置します。