GENERAL PURPOSE FUND

文学部・文学研究科基金

人類の知的遺産を継承し、未来を照らす人文学

 京都大学文学研究科・文学部は、1906(明治39)年に京都帝国大学に開設された文科大学を起源とし、120年近い歴史を通じて、日本そして東アジアの人文学を牽引してきました。私たちは、電子データが研究資料の主流を占める時代にあって、原資料を手に取ることでこそ可能となる教育研究を重視しています。ネット社会であるが故に求められる、人間の血の通った営みを講究し、未来に豊かな知的財産を伝えることが、文学研究科・文学部の大きな使命です。

【所蔵貴重資料の修復へのご支援について】
 文学研究科図書館は、一貫して人文社会系の研究資料の収集に努めており、現在、蔵書数は約117万冊に上り、そのうち特別に貴重な古今東西の原資料約1万冊が「貴重書」として貴重書庫に収蔵されています。貴重書庫は本基金のご支援により2024(令和6)年5月に改修が完了し、最新の空調設備を配備した空間に生まれ変わりました。
 次なる喫緊の課題は、所蔵資料の修復です。文学研究科は虫損・劣化等により研究上の利用が困難となった貴重な古典籍、古文書等を多数所蔵しています。本基金を活用し、貴重書の修復を進めることで、原資料を手に取って研究することの価値を高めたいと考えています。さらに、現物を重視し、それをデジタル人文学など新たな研究手法で活かしていくことのできる若手研究者の育成を目指します。

【文学部・文学研究科全体へのご支援について】
 また、2024(令和6)年10月、文系学部校舎の改修に伴い、その1階と地階の一部および建物南側のサンクンガーデンを一体化し、本学のイノベーション・コモンズの一つとして、文学研究科ぶんこも(愛称「ぶんこも」)の運用を開始しました。ぶんこものサイトについては
こちらをご覧ください。
 ぶんこもは、可動式の調度や各種プレゼンテーション機材・音響設備を備えた談話スペースおよび会議スペースの集合体で、学内における分野を超えた交流や産官学民のネットワーキングの「場」として活用されることを目指した文学研究科の共創拠点です。ぶんこも内では軽い飲食も可能で、文学部・文学研究科をはじめとする学内の学生が、昼食をとったり、おしゃべりをしたり、読書会を開いたりと、気軽に集まり、共に憩うことができる空間として活用されています。学生の日常の「生」に潤いを与えてくれる場所を設けるという、長年の夢がようやくかなったのです。さらに今後、大規模なイベント等、産官学民の活発な交流により“知”の創造が生まれることを期待しています。
 しかし、文学研究科の予算でそろえることができた什器類は最低限のものであり、音楽イベントや映画研究に必要な音響設備、アートイベントや研究成果公開のためのライトレール・ピクチャーレール等、文化施設として充実させるための資金を必要としています。
 ぶんこもを含む教育研究に関する建物および備品の改善・維持管理、出版助成や研究助成による若手研究者支援・育成、公開講座などの社会貢献事業にご支援を賜ることで、学生や研究者の豊かな学習環境・研究環境の確保、活発な教育研究活動を推進していきます。

基金の使途

項 目

内 容

所蔵貴重資料の修復

特に保存状態の良くない貴重資料の修復費用

文学部・文学研究科全体の支援のため

教室や実験施設等の教育研究に関する建物および備品の改善・維持管理、出版助成や研究助成などの若手研究者支援・育成、公開講座などの社会貢献事業実施のため

京都大学大学院文学研究科・文学部ウェブサイトは
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【これまでの活動報告】

 人文学を取り巻く課題や期待に応え得る多様な目的に活用したいと考え、2023(令和5)年度に本基金を新たに立ち上げ、これまで設けてきた「文学研究科所蔵貴重資料修復基金」を統合し、最初の事業として貴重書庫改修を行いました。
 貴重書庫には、奈良時代や鎌倉時代に遡る重要文化財級の古典籍、さらに西田幾多郎の稿本など、貴重な史資料約1万点が収蔵されていますが、過去には大規模なカビの被害に見舞われました。通常の業務用除湿器と空調のみに頼って室内環境を維持していたため、エアコンの故障により室内の温度が急上昇したことが原因でした。収蔵資料の価値に相応しい貴重書庫を持つことは長年の課題でしたが、寄付者の皆様のご厚意により、2024(令和6)年5月、保存環境に配慮した貴重書庫への改修がかないました。

大学全体への寄付に関する詳細に関しては
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